世界的な産業オートメーション、インテリジェンス、人々の生活水準の向上に伴い、自動車、家電製品、電子オーディオおよびビデオ、情報処理機器、産業オートメーションなどの分野でのモーターの応用がますます広がっていきます。
統計によると、先進国の1世帯当たりの電動モーターの平均保有台数は80台から130台であるのに対し、中国の大都市の1世帯当たりの電動モーターの平均保有台数は20台から40台程度で、依然として先進国の平均水準を大きく下回っています。そのため、中国の電動モーター産業には依然として大きな発展の余地があります。
200年以上の歴史を持つモーターと比べると、BLDCモーター実際には開発から50年以上の歴史を持つ比較的新しいデバイスです。しかし、半導体技術の発展とMCUやドライバ部品の普及により、BLDCモーター大幅に減少しました。そのため、近年、BLDCモーター発展しており、全体的な成長率もモーターよりも高くなっています。
図1：BLDCモーター市場規模の予測
の複合年間成長率は、BLDCモーター今後数年間で約6.5%の成長が見込まれます。統計によると、2019年のBLDC市場規模は約163億ドルで、2024年には約224.4億ドルに達すると予想されています。
市場規模はどのくらいですか？具体的な用途は何ですか？
自動車アプリケーション市場
新エネルギー車の台頭、インテリジェント運転の浸透、V2E（Vehicle-to-Everything）の試験的応用などにより、自動車の電子化の傾向はますます顕著になっています。
将来の自動車では、駆動モーターに加えて、電動パワーステアリングシステム、電子サスペンションシステム、横滑り防止装置、クルーズコントロールシステム、ABS、ボディシステム（窓、ドアロック、シート、バックミラー、ワイパー、サンルーフなど）にも電動モーターが多用されるようになるでしょう。
一般的に、エコ燃料車には約10個のモーターが搭載され、普通車には20〜30個のモーターが搭載され、高級車には60〜70個、場合によっては数百個のモーターが搭載され、新エネルギー車には通常130〜200個のモーターが必要です。
図2：自動車に使用されているモーターの数
自動車の性能、特に快適性、安全性、燃費、環境保護への要求が高まるにつれ、自動車に搭載される電子制御装置や電装品の数も増加しています。また、様々な電気機器の採用に伴い、自動車に搭載されるモーター機器の数も増加しています。
新エネルギー車は近年の発展の潮流となっており、世界各国の政策も同時に新エネルギー車の開発を推進しています。欧米などの先進国は、新エネルギー車市場を積極的に開拓し、様々な補助金や優遇政策、法律を通じて新エネルギー車の開発を促進し、従来の燃料車から電気自動車への転換を推進しています。
中国では、2019年7月以降、補助金の急減により成長率が鈍化しました。しかし、2020年には大手自動車メーカーによる新エネルギー車の投入が相次ぎ、特にテスラ モデル3、フォルクスワーゲン ID.3などの新モデルが発売されたことで、業界は補助金主導から需要主導へと転換し、第二の急成長期を迎えると予想されます。
5G
2020年は中国における5Gの発展にとって極めて重要な年でした。第1四半期は感染症の影響で5Gの建設が遅れましたが、チャイナモバイルは2020年末までに5G基地局を30万局設置するという目標に変更はないと述べています。チャイナテレコムとチャイナユニコムも、感染症の影響を回復するため、第3四半期までに新たに25万局の5G基地局の建設を完了することを目指しています。中国ラジオテレビが計画している5万局に加え、中国は今年60万局の基地局を建設する予定です。
図3：2020年に主要4事業者が建設予定の5G基地局数
5G基地局にもモーターが必要となる箇所は数多くありますが、中でも基地局アンテナが挙げられます。現在、5G基地局アンテナには、ギアボックス部品を内蔵した制御モーター製品が搭載されており、ステッピングモーターとブラシレスモーターの2つのオプションがあります。電動調整可能なアンテナには、ギアボックス付きの制御モーターが搭載されています。
一般的に、通常の通信基地局には3本程度のアンテナ、4G基地局には4～6本のアンテナを備える必要があり、5G基地局とアンテナの数はさらに増加します。
基地局アンテナに加えて、基地局内の冷却システムにはモーター製品も必要です。例えば、コンピューターファン、エアコンコンプレッサーなどです。
ドローン/水中ドローン
ドローンはここ数年人気が高まっていますが、すべてのドローンがブラシレスモーターを採用しているわけではありません。最近では、多くのドローンが、機体の軽量化と長寿命化を実現するために、ブラシレスモーターを採用しています。
Droneiiのレポートによると、世界のドローン市場規模は2018年に141億ドルでしたが、2024年には431億ドルに達すると予想されており、最も成長が著しい地域はアジアと北米です。複合成長率は20.5%です。
民用航空局の「民用ドローン任務登録情報システム」によると、2018年末時点で中国には28万5000台のドローンが登録されていました。2019年末には登録機数は39万2000台を超え、商用飛行時間は125万時間に達しました。
特に今年初めの疫病流行期には、ドローンが病院と疾病管理センターの間を往復し、防疫緊急医薬品や検体の自動輸送を実施したり、高速道路を旋回して人力による空中指揮作業を代替したり、アバター消毒器で全国の農村部や都市部まで徹底した防疫消毒殺菌を行ったり、宣伝専門家に変身してスローガンを叫んで人々に自宅待機を促したりするなど、重要な役割を果たした。
感染症流行の影響により、非接触配送が再び注目を集めています。中国では、中国民用航空局が昨年、ドローン物流・配送サービスの試験運用を開始しました。感染症流行の影響により、中国における進展は加速すると予想されます。海外では、物流大手UPSとドイツの無人航空機メーカーWingcopterが提携し、新型VTOL無人航空機を貨物輸送に導入しています。
あまり馴染みのない水中ドローンも登場し、少しずつ実用化に向けて動き出しています。2017年にインタビューした水中ドローンの会社は、当時は量産体制に入っていて、クラウドファンディングで数百台しか出荷していなかったのを覚えています。今では年間出荷台数は数万台に達しています。
電動スクーター/電気自動車
電動スクーターは、本来の乗り心地を維持するだけでなく、インテリジェントな補助動力も提供し、自転車と従来の電気自動車の中間に位置する移動手段です。電動スクーターは主にセンサーを介した走行信号に基づいて対応する動力補助を提供し、サイクリストの出力を低減し、ユーザーの乗り心地を向上させます。自転車と比較して、電動スクーターはモーター、バッテリー、センサー、コントローラー、計器などを追加しており、ライディング体験をより多様化しています。従来の電気自動車と比較して、電動スクーターは手を回転させて車体の速度を制御するのではなく、センサーを介して走行信号をキャッチすることで、サイクリストの走行意図を理解し、対応する動力補助を提供し、ライディングをよりインテリジェントにします。
図4: 自転車、電動スクーター、従来の電気自動車の比較
中国における電動スクーターの販売価格は2,000元から10,000元です。欧州製のホイールハブ式電動スクーターは500ユーロから1,700ユーロ、ミッドマウント式電動スクーターは2,300ユーロから3,300ユーロです。電動スクーターの価格は、自転車や電気自動車よりもはるかに高くなっています。
モーターは電動スクーターの電気システムの中核部品です。電動スクーターの小型化、軽量化、操作効率、外観の信頼性は、電動スクーターの性能を直接左右します。そのため、モーターメーカーは一般的に、電動スクーターのニーズに合わせてモーターをカスタマイズして開発する必要があります。電動モーターは電動スクーターのコストの10%から30%を占めています。
ヨーロッパでは電動スクーターの需要が堅調です。欧州自転車工業会のデータによると、2006年から2018年にかけて、欧州市場における電動スクーターの販売台数は9万8000台から250万台に増加し、年間複合成長率は31%に達しました。
日本市場も着実に成長しています。日本は電動スクーターの開発、生産、販売を最も早く開始した国であり、1980年代には第一世代の電動スクーターの開発に成功しました。しかし、日本の起伏の多い地形、起伏の多い道路、そして深刻な高齢化により、電動スクーターはもはやなくてはならない選択肢となっています。
国内市場はまだ初期段階にあり、今後の成長の余地は大きく、現在、Mobi、Xiaomi、Harrow、Double Speed、Eternalといった企業が中国で電動スクーターの普及に取り組んでいます。
産業用ロボット
中国では、産業用ロボットは主に代替市場であり、その市場空間は非常に広大です。中国は世界最大の産業用ロボット応用市場であるにもかかわらず、産業用ロボット分野における世界の有名メーカーは、スウェーデンのABB、日本のFANUC、安川電機、ドイツのKUKAに代表される4大企業など、主に米国、日本、ドイツなどの先進国に集中しています。
図5：産業用ロボットの販売状況。（データ出典：国際ロボット連盟）
国際ロボット連盟（IFRO）のデータによると、2018年の世界の産業用ロボット販売台数は42万2000台で、そのうち中国では15万4000台が販売され、全体の36.5%を占めています。また、国家統計局のデータによると、中国における産業用ロボットの生産台数は2015年の約3万3000台から2018年には18万7000台へと徐々に増加しており、その成長率は急速です。
さらに近年、政府による産業支援の継続的な導入と国内企業の継続的な躍進により、国産産業用ロボットの国産化率は継続的に向上しています。2018年上半期には、ロボット本体販売における国産比率が2015年の19.42%から28.48%に増加しました。同時に、中国における産業用ロボットの総販売量も成長を維持しています。
ファン
ファンには、扇風機、レンジフード、ヘアドライヤー、カーテンファン、HVACファンなどが含まれます。主な下流メーカーには、Midea、Emmett、Gree、Pioneer、Vantage、Bossなどがあります。
家庭用扇風機という観点から見ると、これは非常に大きな市場であり、中国の家庭用扇風機の生産量は非常に大きいです。国家統計局のデータによると、2018年の中国の家庭用扇風機の生産台数は1億8000万台でした。2017年12月のデータはありませんが、11か月間のデータは1億6000万台でした。2016年も1億6000万台で、2019年は約1億9000万台と推定されています。
図6：中国の家庭用扇風機の生産量。（データ出典：国家統計局）
現在、美的（ミデア）、パイオニア、ニクロム、エメットなど、中国の主要な小型家電メーカーは、基本的にブラシレスモーターを搭載した製品を市場に投入しています。その中で、エメットは生産量が最も多く、シャオミはコストが最も低いです。
Xiaomiなどの越境メーカーの参入により、家庭用扇風機分野におけるブラシレスモーターの転換率は加速し始めており、現在、家庭用扇風機分野では、国内のブラシレスモーターメーカーが確固たる地位を築いています。
家庭用ファンに加え、設備用コンピュータファンもあります。実際、設備用ファンのサーマルファンは、数年前からブラシレスモーターへの移行が始まっています。この分野には、Ebm-papstというベンチマーク企業があります。同社のファンとモーター製品は、換気、空調、冷凍、家電、暖房、自動車など、多くの業界で広く使用されています。
現在、中国では多くの企業がEBMに類似したブラシレスコンピュータファンを製造しており、多くのEBM市場を占めています。
特に国内充電ステーションの増加により、国内メーカーには大きなチャンスが生まれると予想されます。現在、インド政府は充電ステーションを「新インフラ」プロジェクトに含めており、今年はさらなる発展が見込まれています。
冷凍庫用冷却ファンもあります。業界標準や国家エネルギー効率基準の影響により、冷凍庫用冷却ファンはBLDCモーターへの切り替えが始まっており、転換速度が比較的速いため、製品数も比較的多くなっています。2022年までに冷凍庫用冷却機の60%が可変周波数モーターに置き換えられると予想されています。現在、国内の冷凍庫用冷却機の主要メーカーは、主に長江デルタと珠江デルタ地域に集中しています。
ファンの面では、レンジフードもキッチン家電の重要な部品の一つです。しかし、コスト面から、レンジフードのブラシレス化率はまだ高くありません。現在、周波数変換スキームは約150元ですが、非ブラシレスモータースキームは100元以内で完了し、安価なものでも30元程度で済みます。
多くの新しいファンや空気清浄機にもブラシレスモーターソリューションが採用されています。現在、市場に出回っている小型製品では一般的にNedic社のアウターローターモーターが採用されており、大型空気清浄機では一般的にEBMファンが採用されています。
さらに、ここ2年ほど生産が始まった空気循環ファンがあり、その現在の価値は比較的高くなっています。一般的に完成品の価格は781ユニットですが、2000ユニットから3000ユニットと、より高価なものもいくつかあります。
コンプレッサー
冷蔵庫のコンプレッサーの回転速度が冷蔵庫内の温度を決定するため、可変周波数冷蔵庫コンプレッサーは温度に応じて回転速度を変化させることができます。これにより、冷蔵庫は現在の温度状況に基づいて調整を行い、冷蔵庫内の温度をより一定に保ちます。これにより、食品の保存効果が向上します。ほとんどの可変周波数冷蔵庫コンプレッサーはBLDCモーターを採用しており、これにより効率が向上し、騒音が低減し、動作時の寿命が長くなります。
図7：中国における冷蔵庫および可変周波数冷蔵庫の販売状況。（データ出典：国家統計局）
この分野はかつて日本、韓国、台湾メーカーの製品が主流でしたが、2010年以降、国内メーカーの参入が急速に進み、上海のあるメーカーでは年間出荷台数が3,000万台近くに達するとも言われています。
国内半導体メーカーの進歩により、マスターMCUメーカーでも、プリドライブゲートドライバーでも、パワーMOSFETでも、基本的に国内メーカーで提供できるようになりました。
また、エアコン用コンプレッサーも挙げられます。現在、可変周波数エアコンは広く普及し、トレンドとなっています。中国におけるエアコンの生産量も非常に多く、国家統計局によると、2018年のエアコン用モーターの生産量は3億6,000万台、エアコン用BLDCモーターの生産量は約9,600万台でした。さらに、エアコン用BLDCモーターの生産量は基本的に毎年増加しています。
電動工具
電動工具は、最も広く使用されているハードウェアおよび電気機械製品の一つです。軽量構造、持ち運びやすさ、高い生産効率、低消費電力といった特徴から、建設、装飾、木材加工、金属加工、その他の製造業など、様々な応用産業における掘削、切断、研削工程で広く使用されています。
技術の継続的な発展とDIYコンセプトの徐々に浸透に伴い、電動工具の応用範囲も拡大し続けています。従来の手工具による作業の多くは電動工具に置き換えられ始めており、電動工具は産業用途から家庭生活へと用途を広げています。電動工具の需要は年々増加しています。
ブラシレス電動工具は、実は随分前から登場しています。2010年には、いくつかの海外ブランドがブラシレスモーターを搭載した電動工具を発売しました。リチウムイオン電池技術の成熟に伴い、価格はより手頃になり、ハンドヘルド工具のサイズは年々大型化しています。今では、プラグイン式の工具と同等のサイズになっています。
統計によると、家庭用の電動レンチは基本的にブラシレス化されていますが、電動ドリル、高電圧工具、園芸工具はまだ完全にブラシレス化されていませんが、変換の過程にあります。
これは主に、ブラシレスモーターの省エネ性と高効率性により、ハンドヘルド電動工具の長時間駆動が可能になったことに起因しています。現在、ボッシュ、デウォルト、ミルウォーキー、リョービ、マキタなど、多くの国内外メーカーが製品開発に多大なリソースを投入しています。
現在、中国における電動工具の発展も非常に速く、特に江蘇省と浙江省には多くの電動工具メーカーが集中しています。近年、江蘇省と浙江省ではブラシレスモーター制御ソリューションのコストが急速に低下しており、多くのメーカーが価格競争に突入しています。電動工具用のブラシレスモーター制御ソリューションの価格はわずか6～7元程度、中には4～5元程度の製品もあると言われています。
ポンプ
水ポンプは比較的伝統的な産業であり、多様な種類とソリューションが存在します。同じ出力の駆動ボードであっても、現在市場には様々な種類が流通しており、価格は2元未満から40～50元までと幅広くなっています。
水ポンプの用途では、三相非同期モータは主に中・大出力に使用され、交流バイポーラポンプは主に小型・超小型水ポンプに使用されます。現在、北部の暖房改修は、ポンプソリューションにおける技術革新の絶好の機会となっています。
技術的な観点からのみ見ると、ブラシレス モーターは、容積、電力密度、さらにはコストの面で一定の利点があるため、ポンプの分野での応用に適しています。
パーソナルヘルスケア
個人の健康管理の面では、代表的な製品が2つあります。1つはダイソンのインターネットで人気の製品であるエアダクト、もう1つはファシアガンです。
ダイソンが高速デジタルモーターを採用した送風ダクト製品を発売して以来、送風ダクト市場全体に刺激を与えています。
以前、景鋒名園の銭志村氏が紹介したところによると、現在、国内の風洞方式には主に3つの方向性がある。1つはダイソンをベンチマークとし、超高速ブラシレスモーター方式を採用し、一般的な回転速度は約10万回転/分、最高回転速度は16万回転/分である。2つ目はUモーターを交換する方式で、回転速度はUモーターと同程度だが、軽量で高空気圧という利点がある。3つ目は外部ローター高電圧方式で、モーターは主にネディック方式を模倣している。
現在、国内の模倣品は、単に過去にコピーしたものではなく、基本的に特許回避を実現し、一定の革新を遂げています。
近年、ファシアガンの出荷量が急増しています。ジムのコーチやスポーツ愛好家の間では、ファシアガンを装備する人が増えていると言われています。ファシアガンは振動の力学的原理を利用し、深層筋膜に振動を伝えることで、筋膜をリラックスさせ、筋肉の緊張を和らげる効果があります。運動後のリラクゼーションツールとしてファシアガンを使用する人もいます。
しかし、ファシアガンも今や水没しつつあります。見た目は似ているものの、価格は100元以上から3000元以上と幅が広く、ファシアガンに使われるBLDCモーター制御ドライブボードの市場価格も8元台まで下落し、6元程度の制御ドライブボードも登場しています。ファシアガンの価格は急速に下落しています。
あるモーターメーカーは倒産寸前だったそうですが、筋膜ガンの製品のおかげでたちまち復活。しかも、かなり滋養強壮なものでした。
もちろん、この2つの製品以外にも、男児向けのシェーバーや女児向けの美容機器といった製品でもブラシレスモーターの採用が進んでいます。
結論
総じて、BLDCモーターはまだ初期段階にあり、その応用分野は急速に拡大しています。ここで挙げたもの以外にも、サービスロボット、AGV、清掃ロボット、壁面ブレーカー、フライヤー、食器洗い機など、実に多くの用途があります。実際、私たちの生活のあらゆる場面で電気モーターが利用されており、今後開拓される用途はまだまだ数多く残されています。
投稿日時: 2023年7月15日
